【書評】結果的に良書!「世界は宗教で動いている」橋爪 大三郎

世界史に興味を持ち始めると、どうしても避けては通れないのが宗教の話です。特に最近はオランダに興味を持っているんですが、オランダの歴史っていうのが丸々、宗教によって動かされている感じで、これは一度、しっかりと宗教について確認しておいた方が良いなという期待で、この本を読んでみました。ってことで、「世界は宗教で動いている」です。

著者はクリスチャンである。

正直なところ、この本を読んでみて、ひとつ強くガッカリしている点がある。この書籍の「まえがき」、本文、著者紹介に至るまで、どこにも著者がクリスチャンであることが書かれていない。宗教を扱う書籍である以上は、これを明言することは絶対に必要なことだろう。

例えば、様々なクルマの特性や乗り心地について評価する人物がいたとして、評論家として中立な立場であることが望ましいけれども、トヨタやホンダなどのメーカーに属する人のほうが詳しい可能性はあるので、それを宣言したうえでの論評であれば、十分に聞く価値がある。例えば特に、トヨタのひとであるにも関わらず「ホンダの技術者たちの執念を感じます。」なんて評していたら、その言葉の重みというものが違ってくる。

宗教とクルマは違う。だからこそ、クルマ以上に宗教では、自身の立場の明言を避けたことは不信感しか生まない。

クリスチャンから見える宗教の景色

以上のようなことから、本書ではクリスチャンにとって世界がどのように動いているように見えるのかを知るための本であるという警戒心を持って読み進める必要があるし、結果的にもそのような仕上がりになっている。

本書では、キリスト教からユダヤ教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教、儒教、神道という順番で解説がされている。講義の書籍化という特性もあり、それぞれの項目が独立しているわけではなく、前に説明した事柄の解説を受けながら、次の事柄の解説が行われるという形式であるため、常に最初に解説したキリスト教の考え方が下敷きになる。その結果、キリスト教にあるけど後者に無いもの、キリスト教と後者の違い、などという解説になる。

ユダヤ教、イスラム教までは、自分の知識が少ないこともあり、また時系列としても発生起源が分かりやすいため、本書の形式が心地よいのだけど、インド以東については読みづらいところが目立った。

結果的には、良書である。

上記のことを踏まえたうえで読めば、逆説的ではあるものの、本書は良書だと強くオススメできる。クリスチャンにとって、世界がどのように見えているのかを知ることは、とても有意義だと感じるからだ。

最後に、もっとも著者の意向、つまりはクリスチャンの意向を反映していると感じた点について指摘しておくと、本書では宗教を知るためには「聖書」を読むべきだと言っていることだ。これ自体は、とても良いことだと思う。本書の主旨からして、表面的に解説書を読むだけでなく、自分で直接、その宗教の原点にあたるべきだという態度は、正しいと共感した。しかし、とても残念なことに、本書においては「コーラン」や「法華経」や「論語」や「朱子学」や「古事記伝」については一切、読むことを薦めていない。こんな馬鹿げた態度はあるだろうかと感じた。

世界は宗教で動いている

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投稿者プロフィール

タイ在住ブロガー。ここ最近は、ブログ「キャプロア」の復活作業に邁進中です。あと、夜の連続ブログ小説「この男、猥褻につき」ってのを書いてます。旧ブログは「キャプローグ」、旧旧ブログは「キャプログ」です。ブログで賞を貰ったことがあります。

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