幸せ殺人者(足元 花香)

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足元 花香 (著)
もりしんじ (イラスト)
アイ・オー デザイン (編集)
キャプロア出版 (編集)

内容紹介

令和元年 現在17歳 高校生 足元花香(あしもとかのん)の処女作。
これは、小学校の頃、いじめに関わった女の子の告白。
毎年、秋が来るのが怖いと怯えながら、当時を振り返りながら、震えながら書いたお話。
現在高校生になった彼女は、その体験をどう描いたのか。

コンテンツ

【幸せ殺人者】 第一章 熱い鉄棒より
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わたしは夏と秋が嫌いだ。嫌なことを思い出す。忘れていたはずのことなのに夏になったとたんに思い出してしまう。

例えば、
大きなひまわり。
たくさん実った家庭菜園のきゅうりやトマト。
灰色のパーカー。
気温に熱せられた鉄棒。
ギプスをまいた人。
教室。
プール。
扉。
椅子。

冬に見てもなんともないもの、ことが、夏や秋にみると、あの時の醜い思い出が心の深いところにしまって、無くしたふりをしていたものがふわっと出てきてしまって、頑張ってつかまえてしまおうとするんだけど、しまえなくて「なんであんなことしたんだろう」とかもうしても意味ない後悔なんかしちゃって、まるでわたしが被害者みたいになって、その途端またあのことを思い出すから、わたしは夏と秋が嫌いだ。

小学五年生の夏。

わたしが女の子の心を殺したあの夏。

わたしは今も今でもその女の子のことを思い出す。多分あれはいじめだった。いじめだと自覚できずにわたしはその子のことを傷つけていた。身体は運良く生きていただけ。きっとあの子の楽しい小学五年生の心は死んでしまった。

そんな悪夢のような出来事から六年経った。十六歳になってもわたしは彼女のことを思い出す。たくさんの人がわたしに「もう忘れなよ。きっとその子も覚えてないよ」と言った。「そうだね」と何度も言った。早く忘れようと何度も思った。心の底に埋めた。それなのに夏と秋になると、思い出す。北海道の割に高い気温。?シャツの襟のところをばたばたやった。鉄棒に触れたら熱かった。あの夏のこと。

 

 

表紙デザイン

ashimoto1

書籍データ

タイトル:幸せ殺人者(足元 花香)

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